~クリスマスの物語~
ナザレという小さな村にマリアという娘が暮らしていました。マリアはもうすぐヨセフと結婚することになっていたのですが、ある日天使ガブリエルがやって来てマリアにこう告げるのです。
「あなたはもうすぐ男の子を生むでしょう。名前をイエスと名付けなさい。その子は大きくなって世界を救う王さまになります。」マリアはとても驚きましたが、神さまにできないことはないとのガブリエルの言葉を信じて、全てを神さまにお任せすることにしたのです。
マリアのお腹は少しずつ大きくなっていきます。婚約者のヨセフは思い悩んでいました。「結婚の約束など無かったことにしてあげた方が、マリアのためにはいいのだろうか…?」
ヨセフの夢にも天使ガブリエルが現れて、マリアは神さまの子を身ごもったのだと告げました。「その子は大きくなって神さまがいつも私たちと一緒にいることを示してくださるのです。心配しないでマリアを妻にしなさい。」
こうして二人は結婚したのですが、強国ローマの命令で、税金の額を割り出すための人口調査が行われることになり、150㎞も離れたベツレヘムへと向かうことになりました。しかし、身重のマリアを連れての旅は大変な苦労で、ようやくベツレヘムに到着した時には、もうどこにも泊まる場所はありませんでした。
それなのにマリアのお腹が痛み出し、ロバや羊を入れる小屋で赤ちゃんを産むことにしました。家畜のエサを入れる飼い葉桶に新しいワラを入れてベッドを作りました。布にくるんで寝かせると赤ちゃんは穏やかな顔で眠りました。世界の救い主は、王の宮殿ではなく、暗く粗末な場所で静かにそっと生まれたのです。
ところで、この嬉しい出来事はどうやって伝えられたのでしょう。
ベツレヘム近郊で野宿をしながら羊を飼っている羊飼いのところに、天使が現れました。夜空は一斉に明るくなり、羊飼いはまぶしさのあまり地に伏せます。
「今日ダビデの町であなた方のために救い主がお生まれになりました。布にくるまって飼い葉おけの中で寝ている赤ちゃんが救い主のしるしです。さぁ、拝みに行きなさい。」
羊飼いたちは暗い中、ようやく飼い葉おけの赤ちゃんを見つけ出し、天使の言った通りであることに驚き、会う人達みんなにこの嬉しいニュースを伝えました。
クリスマスの不思議はそれだけではありません。遠い遠い東の国で、天文学の博士達が不思議に輝く星を見つけたのです。調べてみるとそれは世界の王の誕生を示す星であることが判りました。そこでさっそく拝みに行こうと、黄金・乳香・没薬という高価な贈り物をもって、救い主を拝みにやって来ました。※クリスマスは「キリスト」と「マス」を合わせた言葉です。キリスト(救い主) マス(ミサ・礼拝)
これが世界で最初のクリスマスのお話です。
暗い世に生まれた希望の光。世界を救うために、天から地上に降りてきてくださった救い主イエスさまの誕生を心からお祝いし、私たちも祈ります。
世界は暗いニュースに覆われているけれど、全ての人の心に希望の光が灯されますように…。みんなで平和を願うことが出来ますように…。アーメン